僕は8年間勤めた精神科病院を退職して日本一周に行くことを決めていました。
しかし、母親の病気が発覚し、とても出発できるような状況ではなく中止しました。
今回はその内容について少しお伝えできればと思います。
僕が日本一周旅行を決意した理由
僕は2023年の3月ぐらいから日本一周に行くことを決めていました。車中泊をしながらいろいろな都道府県を見て回り、旅をしたいなぁと思ったからです。
日本一周を決意した理由はいくつかあります。
まず一つ目は、新型コロナウイルスの影響です。僕は病院に勤めていたので感染症対策というのは世間一般よりももう少しシビアなものでした。医療関係者がコロナに罹患してしまうと患者さんへの影響も出てきます。ましてや高齢の方や基礎疾患がある方もたくさんいたので病院としても対策を取らざる得ませんでした。退職をしている身なので詳細は省きますが、いわゆる「外食」「旅行」などの行動制限がありました。それ自体への不満は全くないと言えば嘘になりますが、同僚と辛さを共感しながら、また医療者として納得しながら受け入れていました。ただその生活を過ごすうちにいろいろと考えるきっかけにもなりました。普段からたくさん旅行に行くかというとそうでもないのに、いざ行っちゃだめですよと言われると行きたくなる。子供の時にもよくこんな気持ちになったものです笑。
病院はまだまだでしたが世間的に緩和ムードだったので行ける時に行かないとと思い、この機会に行こうかなと一つの要因になりました。
続いては両親の健康です。例えば両親のどちらかの介護が必要だったり、高齢でサポートがないといけないような状況であればこのような発想には至らなかったと思います。やはり両親が若くて元気なうちにやっておきたいというのがありました。そして両親にも相談を行い、後押しをしてくれたことも大きかったです。
続いては自分の将来です。仕事柄いろいろな方の人生の一場面に携わらせて頂きました。患者さんからよく声をかけて頂いたり、相談をして頂く機会もたくさんありましたが、自分の経験不足などを感じる部分は多々ありました。いろいろな街を訪れる中で、いろいろな方と交流する中で自分自身に厚みができたらいいなーというのともっと自分の住む日本のことを知っておきたいというのがありました。いつか日本一周をするなら、平均寿命まで生きるとして定年退職してからだとその経験は20年ほどですが、今経験しておくとその経験を50年使えるという風にも思いました。
僕の趣味であるキャンプでは外だけでなく自宅でもキャンプ飯を作ったり楽しんでいました。そういったスキルも役に立つのではないかなと思います。
僕が日本一周旅行を中止した理由
職場を退職する数か月前に母親が健康診断の検査で引っかかったということで病院を受診することになりました。僕は仕事のために実家から離れて一人暮らしをしていましたが、2時間弱で帰れる距離ということもあり、受診に付き添うことになりました。母親はもともと糖尿病で治療を受けていましたが、コントロールが悪く動脈硬化が進んでいる状況でした。子供二人が自立したり、仕事がパートから正社員になったりと生活のリズムも大きく変わり、コントロールの悪化が加速しました。理由としては夫婦共働きで正社員ということもあり、また子供も実家を出ているので外食や出来合いのものを食べることが増えたり、正社員になったことのストレスや疲労もあったようです。動脈硬化の状況は深刻で、冠動脈(心臓の筋肉に血液を送っている血管)を含めて3か所の手術が必要になりました。自分の退職のタイミングでの出来事に驚き、不安などが僕の心に入り混じりました。正直、自分の母親がこういう状況になると思っていなかったのでどうしたものかと悩みました。でもよくよく考えるとすごくシンプルだと思いました。
「母親が早期に治療を受けれるのは不幸中の幸い」
「母親がこういう状況の時に自分が退職したのはタイミングがいいのではないか」
「受診の付き添いや家事など仕事や一人暮らしの経験を活かしてしっかりサポートしよう」
「今までお世話になった母親に少しでも恩返しができる機会を貰えたのではないか」
と最終的に思いました。母親もすごく不安を抱いており、母親といろいろと話しましたが自分がしっかりと受け止めれるのも今だからできることだと思います。
自分だけ日本一周になんて思えるはずもなく、日本一周旅行は中止にしました。母親も気にしてくれていましたが、今一番大事なのはお母さんがしっかりと治療を終えて、またしたいことをできるようになることだよということを伝えました。
そもそも親というのは子育てに自分の時間を奪われることは多々あると思います(僕は子育て未経験ですが…)。
それに比べたら今回のことは容易いと思いました。
こういう時に改めて両親に感謝を感じます。
手術当日の待合も時間がとても長く感じました。
タブレットで映画を見ても頭に入らないし、ゲームをしても集中できないし、かといって何もしていなくても落ち着かず、本を開けても同じ行を何度も見つめているだけでページを進めることができませんでした。心配なものは仕方ないと思い、ただただ無事を祈るばかりでした…。
全ての手術が無事に成功し、後遺症もなく、すぐに歩けるようになりました。ただ術後で安静は必要なため、重いものを持ったり、運転はできなかったため引き続き家事とかを含めて僕がサポートする必要がありました。でもこれもよくよく考えるとずっと母親がしてくれていただけの話しで、誰がやってもいいし、むしろ母親だからってすべて負担しないといけないのものでもないと思います。これは今まで自分が甘えてきていたところだなと思います。こう思えたのも一人暮らしの経験があったからで、今でも積極的に掃除や片付け、曜日を決めて料理を担当したりしています。ただ母親はしていないと落ち着かないようで母親にまかせることも最近では増えてきました。
もちろん自分の将来への焦りがなかったわけでなく、眠れないことも何度かありました。
でもこうしてすべてのことが終わってみると自分が母親をサポートできる機会を貰えたのは恵まれているなぁという気持ちになりました。自分もたくさん支えてきてもらったので少しでも役に立てたのならよかったと思います。
やっぱり病気は誰にでも訪れるもの…。その形は違えど人生が変わってしまうこともあります。病気は不安や悲しみや辛さなどを連れてきますが、それと一緒に学びや気づきや感謝を感じることができます。だからこそしたいことが出来るときに挑戦することに大事さや健康のありがたさが身に沁みます。
この経験がまた僕を成長させてくれたと思います。
僕が日本一周の計画を再開する理由
目標を立てたりあきらめるのは簡単なことですが、実行するのは本当にエネルギーがいると思います。正直、手術前と比べると日本一周に対するモチベーションは少し変わっていました。本当に行きたいからではなく、行くって言ってたから行かないとと少し惰性気味になっているのではと思いました。とりあえず母親の術後一か月経過してから改めて考えることにしました。僕は考えることは大切だと思いますが、考えるタイミングも大事だと思います。その時にならないとわからないことや決めれないことも多いからです。そして一か月が経過した時に一人で喫茶店で3時間ほど一人作戦会議を開催しました。
やっぱりこの退職したタイミングが丁度いいということ、母親の術後の経過もよく両親が元気ということ、この目標を達成しないと自分自身が次に進めない気がすることなどから再開することを決めました。
もし後悔をするのであれば「行っておけばよかった」という後悔より「行かなければよかった」という後悔の方がいいなぁと思います。キャンプもそうですが、準備も実際に行うのも面倒だし、不便だし、困ったことに遭遇するし疲れます。でも不思議とまた行きたくなる魅力がある。それは行ってみたからわかること。僕はまだまだ経験していないことがたくさんあります。少しづつその経験を増やしていろいろな人の役に立てることができるのならそれは本当に幸せなことだと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。あまりうまくまとまっておらず読みにくい箇所もあったと思いますが、おおむね僕の今の思いを書くことが出来たと思います。僕の今後を見守って頂けると嬉しいです。
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